入れ歯が合わない

・入れ歯を入れると痛い

・違和感があって気持ち悪い

・すぐに外れてしまう

・口や頬のお肉を噛んでしまう

・食事が美味しく感じられない

・話しにくい

入れ歯を使っている方からよくお聞きする症状です。

オーダーメイドで作ったはずなのにどうして合わないの?と思う方もいらっしゃると思います。

ここでは入れ歯の調整の必要性や、不具合を放置することで生じる悪影響、入れ歯の代替治療法などをご紹介します。

調整してもすぐに合わなくなってしまいます

入れ歯は最初の装着時はもちろん、長年使っていても定期的な調整が必要です。

熱いものを飲食したり、誤って落としてしまっても入れ歯の形は変わります。他にも、加齢とともにアゴの骨が減少たり、歯茎が痩せて少し隙間が出きるたりと、常に口の中の形が変わるからです。

思えば私の親も、入れ歯の調整が面倒だと愚痴をこぼしていた記憶があります。

当時は入れ歯の質が悪いのかと思っていましたが、実際のところそうともいえません。

いくら高級素材の入れ歯を使ったとしても、ご自身の口内の形の変化による調整は避けられません。

入れ歯のサイズが合わなくなったら、作り直さなきゃいけませんか?

いいえ、多くの場合は大丈夫です。

入れ歯の内面に柔らかい素材を付け足すことで、サイズの調整や、痛みを緩和することができます。

おうちでできる応急処置として、市販の入れ歯安定剤の利用もおすすめです。

合わない入れ歯を使ったり、入れ歯の使用をやめてしまうのはダメですか?

入れ歯の不具合を放置したり、入れ歯の使用をやめてしまうと様々なトラブルを引き起こす可能性があります。

口内炎:
口腔の粘膜や歯茎の床部分が擦れて傷ができ、口内炎などお口のトラブルにつながります。最悪の場合、舌がんの原因になることもあります。

食障害
食事が楽しめず、健康保持に必要な量の食事が摂れなくなります。

他の歯が悪くなる:
入れ歯を使うことで残っている歯への負担を軽くすることができ、歯を長持ちさせることに繋がります。入れ歯を使わないと、他の歯に負担がかかりダメージを受けてしまいます。

また、噛めないからと入れ歯を使わずに、流動食、ゼリー食などから栄養補給を行ってばかりだと、全身の病気や痴呆症になりやすく、健康寿命が短くなります。

見た目の老化:
合わない入れ歯を使い続けると、表情がゆがんだり、シワが出来見た目が老けて見えてしまいます。入れ歯を入れないことでも同様です。

咬み合わせの悪化:
入れ歯を使わずないままの咬み合わせで慣れてしまうと、だんだん本来の正しいかみ合わせで噛むことが難しくなってきます。あごの骨も残っている歯も徐々に動くため、に入れ歯そのものが入らなくなってしまうこともあります。

薬との飲み合わせによる骨壊死:
骨粗しょう症用のBP製材と呼ばれる薬を飲んでいる場合、歯肉にできた傷が原因で骨壊死がおこることもあります。危険ですので、我慢せずにできるだけ早く歯科医院を受診することをおすすめします。

どうしても気持ちが悪くなってしまいます

品質素材、大きさかかわらず、入れ歯が合わない体質の人もいます。

ちょうどよい形の入れ歯を使っているのに、違和感や異物感で気分が悪くなってしまう患者さんもいます。このような場合は入れ歯という治療方法そのものが合わないことも考えられるので、他の治療法も検討しましょう。

また、金属アレルギーで具合が悪くなってしまう患者さんもいます。

入れ歯以外の治療方法はありませんか?

入れ歯以外の治療方法として、メリットデメリットを合わせてご紹介します。

①ブリッジ:
失った歯の両隣の歯を削って、被せ物を橋のように繋げる治療です。両隣に健康な歯が残っていることが治療の条件です。
しかし、「歯のない部分が多い、隣(周囲)の歯茎が痩せている」などの状況で、支えになる歯が無い場合には、ブリッジはできません。連続して歯を失っている場合も選択できない治療法です。

〇メリット
・ご自身の歯と同じような感覚で食事ができる。
・1,2本の少数の歯の欠損に少数歯の欠損に最適
・口内の状態が良ければ、最小限の治療で済む
・固定性なので、着脱のわずらわしさがない

×デメリット
・支えになる歯を削る必要あるので、健康な歯負担をかけてしまうことがある。
・固定性のため、お手入れがしづらく、不衛生になりやすい。
・欠損本数が多い場合には治療できない。
・嚙む力が弱くなる。

➁インプラント:

歯の無い所に人工の歯を入れる方法です。
入れ歯(義歯床)が合わない方、美味しくご飯が食べたい、残っている歯をでいる限り長持ちさせたい方、健康寿命を伸ばしたい方」には、とても適しています。
しかし、インプラントを入れる部位のあごの骨の状態が悪い場合は適していません。埋め込み手術が必要なので、心疾患、骨粗しょう症、糖尿病などの持病のある方も難しい場合があります。

〇メリット
・自分の歯に近い感覚で噛むことができる
・健康な歯に負担を与えることが無い
・歯がやせるのを防ぐことができる
・見た目が美しく、気持ちが良い

×デメリット
・保険適用外なので、治療費がかかる
・治療期間が長い(手術抜歯経過経過観察が必要。挿入したインプラントと骨が結合するまで最短でも2か月間。)
・手術が必要(持病がある場合は不可能な場合がある)
・治療後の定期メンテナンスが必要(3カ月に1回程度)
・歯周病など感染症のリスクがある

まとめ

入れ歯を快適に利用するためには定期的なケアや調整が必要です。

違和感がある場合や、どうしてもうまく使えない場合は、代替治療を考えることもできるので、早めに歯科に相談にすることをお勧めします。