歯周病でよく知られているイメージとして、歯茎が腫れる病気、歯茎から血が出る病気、そして歯を失う原因になる病気、といったものがありますが、歯周病の本当の怖さはそれだけにとどまりません。
実は、歯周病というのは、体の様々な病気を引き起こすことがわかっています。今回は、歯周病が関係している全身疾患についてご紹介します。
歯周病が引き起こすと言われている全身の病気
歯周病というのは、歯周病菌によって引き起こされる感染症だとされています。歯周病菌は、歯の周囲組織に炎症を起こし、歯を支えている骨を溶かしてしまいますが、それだけでなく、血管や呼吸器、消化器を通じて全身にまで影響を与えることがわかっています。歯周病菌が関連している病気として、次のようなものが明らかになっています。
1.心疾患
歯周病菌やその産生物が血管を狭くしたり、血栓を作ったりすることで、狭心症、心筋梗塞を起こすリスクがあります。また、心臓の心内膜に感染を起こすことで細菌性心内膜炎を起こすこともあります。
2.脳梗塞
血管に入り込んだ歯周病菌やその産生物が脳の血管を狭くしたり、血栓を作ったりすることで、脳の血管が詰まり、脳梗塞を起こすことがあります。
3.肺炎
特に反射機能が衰えた高齢者の場合、唾液や食べ物に混ざった歯周病菌が誤って気管の方に落ちてしまうと、細菌性肺炎を起こし、命に関わることもあります。
4.胃腸の疾患
歯周病菌の影響で胃潰瘍を引き起こしたり、腹痛、下痢、嘔吐といった症状を起こしたりするとも言われています。
5.糖尿病
糖尿病と歯周病には特に、相互に深い関連性があるとされています。
6.低体重児出産・早産
歯周病菌やその産生物が、血管を通じて胎盤に影響を及ぼし、早産や低体重児出産を招くリスクがあると言われています。
7.腎疾患
歯周病菌は、糸球体腎炎を引き起こす原因菌の一つであることがわかっています。
8.関節リウマチ
歯周病菌が原因で関節リウマチを発症することがあると言われています。
9.メタボリックシンドローム・肥満
歯周病にかかっていると太りやすくなり、メタボリックシンドロームや肥満を招きやすいと言われています。またこれは、糖尿病とも関係してきます。
以上のように、歯周病と関連があるとされている病気は多く、これ以外にも次々と関連性を指摘する報告が増えており、これからもますます明らかになってくることでしょう。
また、歯周病菌はインフルエンザの感染を助けたりする作用があることもわかってきており、口腔ケアの大切さが近年特に認識されてきています。
ぜひ皆さんも、体の健康のためにも歯周病ケアに取り組んでみてください。